2018年11月19日 星期一

脳を操る寄生生物 トキソプラズマ(弓形蟲感染症)



 脳を操る寄生生物 トキソプラズマ(弓形蟲感染症)







トキソプラズマという原生生物に寄生されたネズミは奇妙なことにネコを怖がらなくなり,簡単に餌食になってしまう。この結果,トキソプラズマはまんまと最終宿主のネコに入って増殖するのだ。近年の研究で,この寄生生物がネズミの脳を操って行動を変える仕組みが具体的にわかってきた。トキソプラズマは人間にも寄生し感染者は世界で30億人に上るとされるが,同様の脳操作が生じているのだろうか……。


【関連情報】トキソプラズマ症とは:国立感染症研究所
  

著者

Gustavo Arrizabalaga / Bill Sullivan
2人ともインディアナ大学医学部で薬理学・毒物学・微生物学・免疫学の教授を務めている。それぞれ独立に,トキソプラズマの細胞生物学と分子生物学に的を絞った研究室を率いている。

原題名

Played by a Parasite(SCIENTIFIC AMERICAN MIND March/April 2015)



 http://www.nikkei-science.com/201507_082.html




人間の体内にも寄生している寄生生物が宿主の行動や性格をゆがめていることが判明


 ネズミやネコ、人間などあらゆる生き物の脳に寄生し、宿主の行動をねじ曲げたり健康に害を及ぼすという恐るべき寄生生物が「トキソプラズマ」です。どういった生き物でどのような影響を及ぼすのかについて、インディアナ大学医学部にて教授を務めるグスタボ・アリサバラガ氏とビル・サリヴァン氏が明かしています。

Common Parasite Could Manipulate Our Behavior - Scientific American

http://www.scientificamerican.com/article/common-parasite-could-manipulate-our-behavior/






 ネズミはネコに対して根本的な恐怖心を抱いています。これは、ネズミを「死」から守るための感覚なのですが、不運にもネズミにはもうひとつ、恐るべき敵が存在します。それが単細胞生物の「トキソプラズマ」で、これは寄生したネズミの最も根本的な生存本能である「ネコに対する恐怖心」を感じなくさせてしまうという恐るべき寄生生物です。

トキソプラズマが寄生するのはネズミだけでなく、陸・海・空のあらゆる恒温動物に寄生し、もちろん人間にも寄生します。科学者によれば、世界中でトキソプラズマに寄生されている人間はなんと30億人も存在するとのことです。

アメリカでは5人に1人がトキソプラズマに寄生されていると言われており、国によってはその寄生率が95%に達するところも存在するそう。ただし、ほとんどの人の場合、トキソプラズマに寄生されても何の症状も現れないことも明らかになっています。しかし、最近の研究ではトキソプラズマは恒温動物の脳内の分子構造を改造していることが明らかになっており、研究者の中にはトキソプラズマが人間の健康状態や性格をゆがめる作用を持っている、と提唱する人も現れています。




 ◆トキソプラズマとは?

科学者が最初にトキソプラズマを発見したのは1908年で、20世紀の終わりまでにはこの寄生生物に関するさまざまな情報を判明しています。理由はいまだに明らかになっていませんが、トキソプラズマは宿主のネコの腸内でのみ有性繁殖するようになっており、トキソプラズマにとってはネコが終宿主となります。トキソプラズマの主な感染経路は経口感染ですが、人間はネコ用トイレやネコの飲食物などを扱う際に、この寄生生物に感染してしまうことが多いそうです。

トキソプラズマはネコ以外の宿主の中では無性生殖で体内全体に繁殖します。感染の初期段階ではトキソプラズマ症を引き起こし、免疫不全の場合は重度の組織損傷を伴うこともあります。といっても、ほとんどの場合は免疫系に抑えられて大きな問題になることはなく、不快感や寒気、熱、全身の痛みなどの症状に襲われる程度で、数日中に免疫系により活動が抑えられます。

ただし、妊娠の初期段階にトキソプラズマに初めて感染してしまうと、トキソプラズマが発育中の胎児にも感染してしまい、胎児に重度の障害を負わせたり最悪の場合は流産してしまう可能性もあります。




 初期感染時以降は、トキソプラズマが宿主の体内の嚢胞に身を隠し、特に何の症状も発現しませんが、エイズ・臓器移植・化学療法などを受けている人の場合、ひどい合併症に悩まされることがあるそうです。しかし、体内にしばらく潜伏した後は生物の免疫システムを弱め、宿主の体内で繁殖しやすい環境を形成します。なので、一度トキソプラズマに感染してしまえば、生涯この寄生生物を体に宿したまま過ごすこととなります。

◆トキソプラズマがネズミの行動をねじ曲げる

1980年代、研究者はトキソプラズマに感染したネズミが、極端に活動的になり、身繕いをほとんどしなくなるという異常な挙動に気づきました。そして1994年、オックスフォード大学の疫学者であるジョアン・ウェブスター博士が、嚢胞を体内に持つネズミは持っていないネズミと異なり、ネコから逃げようとせずに逆に近づいていくことを発見しています。

ウェブスター博士はこの「ネズミがネコにすり寄っていく現象」について調査を行い、これはネズミの体内に寄生するトキソプラズマが終宿主であるネコの体内に移動するためにネズミを操っているのではないか、と推測しました。その後の複数の研究から、トキソプラズマは神経作用と遺伝子発現によりネズミの行動を変えてしまうことが判明しています。

ある実験では、トキソプラズマに感染したネズミと感染していないネズミにネコのニオイをかがせてその反応を調査しています。この実験ではトキソプラズマに感染していないネズミが周囲を警戒し始めたのに対し、感染しているネズミは全く警戒心を示さなかったそうです。さらに、2011年にスタンフォード大学で行われた研究では、トキソプラズマに感染したネズミがネコのニオイに性的に興奮して引きつけられる、ということも明らかになっています。



 ほ乳類の脳には「防衛」と「生殖」を司る部分がニューロン経路に並行して存在します。ニューロン経路は嗅球からスタートして大脳辺縁系で終わるのですが、ネズミの脳を解剖したところトキソプラズマに感染した個体は大脳辺縁系周辺の嚢胞が感染していないネズミよりも格段に多いことが判明しました。さらに、トキソプラズマに感染したネズミがネコのニオイを嗅ぐ際の脳の反応を観察したところ、ニューロンの「生殖」に関する経路が雌のネズミのニオイを嗅いだ際ろ同じような反応を示したことも明らかになっています

これらの結果は、トキソプラズマに感染したネズミの神経作用が「防衛」から「生殖」に切り替わっていることを示唆しています。つまり、通常のネズミが危険を感じるニオイを雌の香りと勘違いしてしまうわけです。さらに、他の研究ではトキソプラズマが宿主の性行動に関する神経伝達物質の生成レベルを高めることも明らかになっており、この物質の増加を止めると、トキソプラズマに感染したネズミがネコの香りにつられてネコに近づくという奇妙な現象も起きなくなったという研究結果も公開されています。



 スタンフォード大学で働く寄生生物学者のジョン・C・ブースロイド教授によれば、トキソプラズマは最初に宿主細胞に付いており、次に蓄積された外来タンパク質を細胞に注入し、宿主細胞に入り込んでミトコンドリアを移動させたり細胞内のDNAに宿主遺伝子の発現を禁じたり、さらにはトキソプラズマが繁殖しやすいように免疫反応を禁じるために宿主タンパク質を改造したりするそうです。

また、トキソプラズマの変異種をネズミに寄生させたところ、4カ月後には脳内で検知可能な寄生生物がいなくなったにも関わらず、一度感染したネズミがネコの香りにすり寄っていく現象が見られたそうで、トキソプラズマにより宿主にもたらされる行動変化は、寄生生物がいなくなっても永続するものである可能性もあります。

◆トキソプラズマと人間

トキソプラズマに感染している人間が動物園のライオンの檻に飛び込むことがないように、トキソプラズマによる行動改変はネズミなどのげっ歯類に特にフォーカスしたものである可能性が高いです。人間がネコに食べられることもほとんど考えられないので、トキソプラズマにとって人間は「行き止まり」のようなものです。それでも、トキソプラズマに感染されれば人間の脳内には嚢胞が溜まり、予期せぬ行動をとってしまうこともあるようです。

チェコのプラハにあるチャールズ大学に務める寄生生物学者のヤロスラフ・フレグル氏は、10年以上に渡って2500人の被験者の人格評価を続けるという大規模調査を行っています。この調査結果によれば、トキソプラズマに感染している人間の行動にはしばしば同じ特性がみられるそうです。例えば、トキソプラズマに感染している男性は内向的で、疑い深く、反抗的。女性の場合は信頼性があり従順な人が多いそうです。さらに、単純な反応時間を測るテストを行ったところ、トキソプラズマに感染している人々は感染していない同年代の人々よりも反応時間が遅いという特徴もみられました。



 他にも、2009年にチェコで3890名の新兵に対して行われた調査では、トキソプラズマに感染している陰性の血液型を持つ兵士は、感染していない陽性の血液型を持つ兵士の6倍も多く交通事故を起こしていたことが明らかになっています。陰性の血液型、つまりはRhDタンパク質の有無がトキソプラズマとどのように関係して交通事故の発生率を高めているのかは定かではありませんが、これらが何かしら作用していることは明らかです。

さらに、ネズミと同じようにネコのニオイに人間が反応することも明らかになっています。2011年に行われた調査では、トキソプラズマに感染している学生34人と感染していない学生134人にさまざまな動物の尿サンプルのニオイを嗅いでもらったところ、トキソプラズマに感染した男性は感染していない男性よりもはるかにネコの尿のニオイに好意的な反応を示したことが明らかになっています。ただし、女性の場合はこれとは反対の反応が現れているようで、男女で異なる特性を持つというのはフレグル氏の性格調査の結果と同じものです。

他にも、トキソプラズマ症と統合失調症の間にある潜在的なつながりも指摘されています。Stanley Medical Research Instituteの精神科医であるE・フラー・トーリー氏とジョンズ・ホプキンス大学のロバート・ヨルケン氏による調査によると、初めて統合失調症を発症した患者の中には、トキソプラズマに感染している人の数が非常に多いそうです。ただし、統合失調症はさまざまな要因から発症するものなので、トキソプラズマにより統合失調症が発症したと断定することはできていません。また、トキソプラズマが統合失調症を含むあらゆる精神病の原因となっているかどうかについてもまだまだ情報が足りていない、とのことです。

なお、アメリカ疾病予防管理センターは、トキソプラズマに感染することを防ぐには、料理の際には手を洗うなどして清潔さを保つことと、ネコが自由に行き来している庭がある場合は手袋やマスクをしてガーデニングすることを勧めています。

トキソプラズマに寄生されたからといって超人的なパワーを手に入れたり涙が出なくなったり右手が相棒になったりすることはなさそうなので、少しでも感染の可能性を減らすべく手洗いうがいなどの基本的な感染症予防は怠らないようにするのが良さそうです。



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